3月9日、10年前のこの日、一人の作曲家が息を引き取りました。
上田現さん。
30年前、ぼくの青春時代の音楽はこの人なくしては語れないほど、ぼくに影響を与えた方でした。
レピッシュというバンドは、当時ではまだ珍しいスカを全面に押し出していて、ぼくが後にパンク好きになる土台を作ったバンドだと思います。
その楽曲の中でも、たまに見せるレゲエを源流に汲むものは、特に独創的で深く心に刻まれたのです。
ちなみにぼくはレゲエはあまり好きではないのですが、こうしたロックと融合することによって、それとまったく異なる印象を受けます。
例えばStingのEnglishman In New York然り、Stab 4 Reasonの楽曲然り。
話は逸れましたが、そんな上田現さんの作る楽曲を引っさげて活躍したレピッシュのことも、時を経るにつれて殆ど忘れてしまっていたのでありますが、ある日衝撃的な楽曲を耳にしてフラッシュバックのように脳裏に蘇ります。
それが元ちとせさんの唄う「ワダツミの木」だったわけです。
元ちとせさんの歌声と世界観が独特で強烈なので分かり難いですが、これは明らかに上田現さんの楽曲です。
そののち、上田現さんは肺がんで亡くなり、さらにそののち、レピッシュのボーカル=MAGUMIさんがこの楽曲を唄うことになります。
泣きそうになりました。
現さんはきっとMAGUMIが唄うことを前提に作ったに違いありません。
だって、これはどう聴いたってレピッシュの楽曲だったのですから。
現さん、どうか安らかに。
そしてMAGUMIさん、唄ってくれてありがとう。
2018.03.09 Friday